規約変更後に理事長が保管すべき一通の書面とは
管理規約
理事長をしています。
当マンションでは、標準管理規約第72条3項と同記載の規約の条項が下記の通り定められています。
「規約が規約原本の内容から総会決議に変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本および規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する。」
過去の総会において、規約の追加や、規約の削除を何度かしてきていましたが、
標準管理規約第72条第3項と同じ規約条項に基づく、1通の書面を作成しておりませんでした。
私が理事長に就く直前の第○回通常総会で規約の追加を、私の就任後の第△回臨時総会で、規約の削除が行われたことから、管理会社に対して、理事長が署名押印すべき1通の書面の作成を依頼したのですが、
そこで後日渡されたものとして、
「現に有効な規約」とタイトルのつけられたファイルに
①過去の第□回通常総会や第●回通常総会で制定された使用細則等に関連する議案の総会議案書のコピー
②第○回通常総会で規約追加の議案の総会議案書のコピー
③第△回臨時総会の規約削除の議案の総会議案書のコピー
④管理規約等改訂履歴と題して、①〜③の総会の日付と議案の「タイトル」を列記した表
⑤「本管理規約集は、規約原本及び規約変更を決議した○○年○月○日に開催した臨時総会の議事録の内容と相違ありません。」 ●年●月●日 ●●管理組合 理事長 印
と記載されたA4用紙が収まっていました。
私はてっきり、相違ないですという記載の前か後に、変更後の条項に差し替えた規約を第1条から最後の条項まで一気に列挙したものを1通の書面を用意して、その書面に付属させる形で、規約原本と、規約変更に関わる過去の総会議事録のコピーを添付するものかと考えていました。
まとめですが、
1、このファイルで理事長が保管すべき1通の書面と言えるのでしょうか?
2、書面に、変更後の条項に修正したものも含めて他の管理規約の記載を全て列挙しなくてよいのでしょうか?
3、管理規約の他に、使用細則の内容の記載も必要なのでしょうか?
4、「○○に開催した臨時総会の議事録の内容と相違ない」というような形で、複数の総会でそれぞれ規約変更しているにも関わらず、最新の総会のみに限定して記載するのはおかしいのではないでしょうか?
みんなの回答
とろろさんのマンションの管理会社は、標準管理規約72条第3項の保管すべき文書に関する規定と、同条第4項の閲覧させなければならない文書(規約原本等)に関する規定とを混同させているところに問題があるのではないかと思います。
まず、原則からいきますと、「理事長が保管すべき1通の書面」というのは、「現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名した」もの(規約72条第3項)のことですから、素直にこのとおり読めばいいと思います。
1通の書面に記載すべき内容は、①「現に有効な規約の内容」と②「当該内容が規約原本と規約変更した総会の議事録の内容と相違ないこと」の2点です。
従って、改正後の規約を糊付けするなどして1通の文書に仕上げ、その最終頁の余白にでも、規約原本と規約変更を決議した総会議事録の内容と相違ない旨を記載して署名しておけばOKです。
総会の議事録まで添付する必要はありません。
また、過去数回の総会での改正決議の記載を飛ばしていたのであれば、順番に●年●月●日の総会決議、○年○月○日の総会決議…と歴々の総会決議日を並べて規約原本の改正経緯を明らかにしたうえで、末筆に、各々の決議を経た内容と相違ないと署名しておけば足りると考えます。(効力を疑われたとしても過去の議案を見ればわかることですから、それほど神経質になる必要はないと思います。)
なお、以上は、お問い合わせの管理規約72条第3項に定める理事長が保管すべき1通の書面の話しであって、同条第4項に定める閲覧にあっては、過去の総会議事録も併せて閲覧させなければなりません。
以上により、
1、このファイルで理事長が保管すべき1通の書面と言えるか。
「本規約集」とあるので現に有効な規約が添付されているという前提で考えると、余計なものが付いているだけなのでダメという訳ではないですが、できれば必要最小限でスッキリさせた方が分かり易いと思います。管理会社は、保管文書と閲覧文書とを混同しているのではないでしょうか。
2、書面に、変更後の条項に修正したものも含めて他の管理規約の記載を全て列挙しなくてよいか。
別表等も含め、改正後の全条文を掲載すべきだと思います。
1通の書面には、現に有効な管理規約の全文を掲載し、その内容が総会決議と相違ないと署名することになっていると理解しています。改正部分だけだと機械的過ぎて訳が分かりません。
4、「○○に開催した臨時総会の議事録の内容と相違ない」というような形で、複数の総会でそれぞれ規約変更しているにも関わらず、最新の総会のみに限定して記載するのはおかしいのではないか。
仰るとおり、中間を飛ばしていた場合は、証明の欠缺部分を埋める意味からも、過去の総会を列挙されるのがいいのではないかと思います。
最後に、
3、管理規約の他に、使用細則の内容の記載も必要か。
必要ありません。
72条第3項の規定は、管理規約にのみに適用されます。使用細則その他細則に関する同趣旨の条文はありません。
また、同条4項の閲覧にあっても、使用細則等の場合は、総会の決議内容を閲覧させる必要もありません。
とろろさんのマンションの管理会社は、標準管理規約72条第3項の保管すべき文書に関する規定と、同条第4項の閲覧させなければならない文書(規約原本等)に関する規定とを混同させているところに問題があるのではないかと思います。
まず、原則からいきますと、「理事長が保管すべき1通の書面」というのは、「現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名した」もの(規約72条第3項)のことですから、素直にこのとおり読めばいいと思います。
1通の書面に記載すべき内容は、①「現に有効な規約の内容」と②「当該内容が規約原本と規約変更した総会の議事録の内容と相違ないこと」の2点です。
従って、改正後の規約を糊付けするなどして1通の文書に仕上げ、その最終頁の余白にでも、規約原本と規約変更を決議した総会議事録の内容と相違ない旨を記載して署名しておけばOKです。
総会の議事録まで添付する必要はありません。
また、過去数回の総会での改正決議の記載を飛ばしていたのであれば、順番に●年●月●日の総会決議、○年○月○日の総会決議…と歴々の総会決議日を並べて規約原本の改正経緯を明らかにしたうえで、末筆に、各々の決議を経た内容と相違ないと署名しておけば足りると考えます。(効力を疑われたとしても過去の議案を見ればわかることですから、それほど神経質になる必要はないと思います。)
なお、以上は、お問い合わせの管理規約72条第3項に定める理事長が保管すべき1通の書面の話しであって、同条第4項に定める閲覧にあっては、過去の総会議事録も併せて閲覧させなければなりません。
以上により、
1、このファイルで理事長が保管すべき1通の書面と言えるか。
「本規約集」とあるので現に有効な規約が添付されているという前提で考えると、余計なものが付いているだけなのでダメという訳ではないですが、できれば必要最小限でスッキリさせた方が分かり易いと思います。管理会社は、保管文書と閲覧文書とを混同しているのではないでしょうか。
2、書面に、変更後の条項に修正したものも含めて他の管理規約の記載を全て列挙しなくてよいか。
別表等も含め、改正後の全条文を掲載すべきだと思います。
1通の書面には、現に有効な管理規約の全文を掲載し、その内容が総会決議と相違ないと署名することになっていると理解しています。改正部分だけだと機械的過ぎて訳が分かりません。
4、「○○に開催した臨時総会の議事録の内容と相違ない」というような形で、複数の総会でそれぞれ規約変更しているにも関わらず、最新の総会のみに限定して記載するのはおかしいのではないか。
仰るとおり、中間を飛ばしていた場合は、証明の欠缺部分を埋める意味からも、過去の総会を列挙されるのがいいのではないかと思います。
最後に、
3、管理規約の他に、使用細則の内容の記載も必要か。
必要ありません。
72条第3項の規定は、管理規約にのみに適用されます。使用細則その他細則に関する同趣旨の条文はありません。
また、同条4項の閲覧にあっても、使用細則等の場合は、総会の決議内容を閲覧させる必要もありません。
得した
ありがとうございます。参考になりました。
その後、管理会社にもおかしいと感じた点を指摘しましたところ、管理会社も指摘に納得されました。
管理会社ではこれまでフロント担当毎に各自の考えで用意していたとのことで、改めて管理会社自身が管理会社の法務部や顧問弁護士に確認してみたら、対応が不適切であったとの結論に至ったとのことでした。
それにしても、販売会社と同系列の管理会社が管理を担当しているにもかかわらず、当マンションの管理規約の作成に当事者として携わっている管理会社であるにも関わらず、現場のフロントマンが当該マンションの管理規約を無視した各自のルールで現場運用している実情が多々あるということが信じられないという気持ちです。
通常、「AとBの2つの事項について、○○する」という場合は、「AとBとを○○する」という具合にA、Bそれぞれの後に等しく「と」を付します。
(例)地方税法72条の24の5の見出し「鉱物の掘採事業と鉱物の精錬事業とを一貫して行う法人の付加価値額等の算定」(「鉱物の掘採事業と鉱物の精錬事業を一貫して行う」とはいいません。)
この原則に従うと、標準管理規約72条第3項の「規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名した上で、この書面を保管する。」という条文のうち、後半にある「相違ないことを記載し」という部分は、「相違ないこととを記載し」と「こと」の次にもう1回「と」を加えないといけません。
こうすると、Aに当たる部分が「現に有効な規約の内容」であり、Bに当たる部分が「その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないこと」ということになりますから、「AとBとを記載する」という構図が明らかになり、解釈がはっきりします。
この72条第3項は大変分かりにくい規定だと思います。読む人によって解釈の違いが出てきそうなので、管理会社もフロントも混乱することが多いのではないでしょうか。
私は、標準管理規約が、この「相違ないこと」の次に加えるべき「と」を抜かしてしまっているところに原因があるのではないかと訝っています。
© 2023 - All Rights with CIP
ありがとうございます。参考になりました。
その後、管理会社にもおかしいと感じた点を指摘しましたところ、管理会社も指摘に納得されました。
管理会社ではこれまでフロント担当毎に各自の考えで用意していたとのことで、改めて管理会社自身が管理会社の法務部や顧問弁護士に確認してみたら、対応が不適切であったとの結論に至ったとのことでした。
それにしても、販売会社と同系列の管理会社が管理を担当しているにもかかわらず、当マンションの管理規約の作成に当事者として携わっている管理会社であるにも関わらず、現場のフロントマンが当該マンションの管理規約を無視した各自のルールで現場運用している実情が多々あるということが信じられないという気持ちです。
とろろ
さん通常、「AとBの2つの事項について、○○する」という場合は、「AとBとを○○する」という具合にA、Bそれぞれの後に等しく「と」を付します。
(例)地方税法72条の24の5の見出し「鉱物の掘採事業と鉱物の精錬事業とを一貫して行う法人の付加価値額等の算定」(「鉱物の掘採事業と鉱物の精錬事業を一貫して行う」とはいいません。)
この原則に従うと、標準管理規約72条第3項の「規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名した上で、この書面を保管する。」という条文のうち、後半にある「相違ないことを記載し」という部分は、「相違ないこととを記載し」と「こと」の次にもう1回「と」を加えないといけません。
こうすると、Aに当たる部分が「現に有効な規約の内容」であり、Bに当たる部分が「その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないこと」ということになりますから、「AとBとを記載する」という構図が明らかになり、解釈がはっきりします。
この72条第3項は大変分かりにくい規定だと思います。読む人によって解釈の違いが出てきそうなので、管理会社もフロントも混乱することが多いのではないでしょうか。
私は、標準管理規約が、この「相違ないこと」の次に加えるべき「と」を抜かしてしまっているところに原因があるのではないかと訝っています。
クマ次郎
さん